「丘」をコンセプトに、佐藤オオキが代表を務めるデザインオフィスnendoが建物および内装デザインを監修したカシマヤダイカンヤマが昨年オープンした。大小様々なハコを重ねたような、地下1階から地上5階までの全6フロアで構成る建物はオンワードホールディングスによるもので、カフェ、ギャラリー、マーケット、レストラン、バーなどが入る都会の洒落た空間になっている。
館内のインテリアや家具は全てnendoとonndoの監修により配置され。内外に設置された全200種類におよぶという植栽は、ガーデンデザイナーの長濱香代子氏による。
IN & OUT. 内と外との境界線は少し前からあいまいになってきているが、このカシヤマダイカンヤマはそれにグラマラスな要素が垣間見られる。
今のミニマルでソフトな空間を惹きたてるのは、アールデコテイスト。黒の脚と随所のアール、ボール型のランプがレトロなリラックスをもたらす。
発表当初はキッチュなフォルムに思えたライスソファ(かな?)も、今のトレンドの手作り感を残したニートな空間に置かれると絶妙なフィット感である。少し時代を先取りしていた家具が、これからのインテリアスタイルを創り出している。
現代の玉砂利のようなモチーフはタイル。ひとつひとつの柄が違う。
モジュラー家具。吊る、動く。旬な要素が押えられている。
ペンダントライトやシャンデリアも変化が著しい。佐藤オオキお得意のフォルムのブラケットが、メタルのこんなグラマラスな照明になって登場している。
アールデコスタイルにキラキラ感、ドレープによるエレガントでグラマラスなシーンはバーコーナーで顕著になる。
ダイニングのソファやウォールも非日常感をかきたて、都会のオアシス空間を演出する。
インテリアの内部に外部の要素を連動させる考えは、2020ダスハウスのコンセプトで、スペインのMUTDesignにより提示されている。内部空間と外部空間の間の境界を取り除くことにより、自然だけでなく、居住者のコミュニティ、そしてその先の世界の生活体験をも開こうというもの。建築と自然、屋内と屋外、プライバシーと共同生活の垣根を取り払うという自由な生活概念によっている。
MUTデザイン 2020ダスハウス:ケルンメッセ
このモックアップがどのように具現化されているのか、現地での視察が待ち遠しい。