官民と地域が一体、多世代交流CCRC事業

少子化で存続危機にある大学。人口減少で消滅の危機にある自治体。国立大学や自治体は、優良な場所にあり、所有する土地の有効活用が求められているそうです。そこで、柔軟な発想転換による多世代交流型複合施設を開発が実現しているとのことです。

「自治体・国立大学法人が検討を迫られる保有地の有効活用」と題したセミナーが学研本社を会場に開催。かつて学研にご依頼を受け、都市型初となる多機能高齢者施設のデザインに携わったことよりご案内をいただき、聴講しました。

前橋市・日赤病院跡地、CCRC実現事例

前橋市 都市計画部 官民連携まちづくりを担当された佐藤氏。大和ハウス工業㈱都市環境塑像部の倍田室長らは、前橋版生涯活躍のまちづくり成功事例について紹介。縦割り行政の中、紆余曲折しココルンサークルが出来るまでが語られました。

CCRC事業

CCRCとは、(コンティニュアリング ケア リタイアメント コミュニティ)の略。仕事をリタイアした人が第二の人生を楽しむまちを示す米国で生まれた概念。病院や介護、スポーツやボランティアなどの体験や活動に参加できる施設があり、居住者は健康に地域の人と楽しむことができるまちとされる。

1960年代には、シニアのみの街づくりが行われていましたが、子どもや地域の人を交えた多世代交流型のCCRCでは、アルツハイマーの発症率の減少。社会参加によるフレアの低減が見られるのだそうです。

行政x事業者xまちづくり団体ココルンシティが一体となり、CCRC事業に取り組み、実現。「土地活用モデル大賞」を受賞されました。

大学で高齢者と交わる複合施設

携わらせていただいたサ高住・グループホーム学研の「ココファン」。今や業界一位の運営施設数となっているそうです。立ち話で「あれはいつでしたか」などとなり、第一号からかれこれ20年だそう。思えば葬祭場や高齢者施設が街中にあるなんて、まだ歓迎されない時代でした。

神戸大学名谷キャンパス内CCRC。サ高住の建物と大学のセキュリティなどの問題がまだまだあるそうです。高齢者や学生がホールを通り、図書室に行くなど、自然に学生、高齢者、地域が交流するアクセスポイントができればなど出ていました。

話し合いの提言として述べられていたのは、直接的な利益優先から、生み出される新たな価値の重要性への発想の転換でした。柔軟な解釈や理解が土地の新たな価値を創り出すのに必要、と話されていました。

パネルディスカッションの進行は学研ココファン代表取締役 兼 CEOの小早川氏。ココファンの第一号から五号くらいまで手掛けさせていただいた時、既に小早川氏はココファンの指揮をとられていました。辛口の質問をバキバキと述べられてました。

ずっと前から

デザイン学校での私の卒論は、病院のビル内に高齢者施設と幼稚園がある施設のデザインでした。この研究は当時の新聞に『2025年には4人に一人が65歳となる』との記事を目にしたことから発しました。関心を持てば既に多くの情報が世に出ていました。あの頃既に今の人口試算は出ていたと言うことです。ずいぶん遠回りし、バブルに浮かれ箱物を作り、さて現在ということに。かつて日建設計による高崎総合福祉センターで遊具とカラーを手がけました。たまご広場・こども広場があり、屋上は高齢者や市民の公園。木を使い、日本の伝統色での染色をして情操しよう!と提案しましたが、たまご色に。たまご広場なのでベタに分かりやすいカラリングとなりました。あの施設は今使う人がどの位いるのかなぁと、ふと思ってお話しを聞いていました。