国立劇場また逢う日まで

令和5年10月31日をもって国立劇場が閉場しました。昭和41年11月に会場のこの劇場では、日本の伝統芸能が披露されてきました。近年入場者も減少傾向となりインバウンド需要を見込み再建となったそうです。『未来へつなぐ国立劇場プロジェクト』として変革されます。

国立劇場

国立劇場は、竹中工務店・岩本博行氏による設計です。彼は日本建築素材の色彩を用いて統一感を与えることを持論としました。その技法と考えで、職人・大工・棟梁の伝統を受け継ぐ人物と目されていたそうです。建物は日本におけるモダン・ムーブメント建築にも選ばれました。赤みを帯びたねず色の、独特の質感でした。

最後にこの空間を味わっておこうと国立劇場と小劇場を訪問しました。

国立小劇場

国立小劇場ではさよなら公演として日本の寄席芸が開催されていました。楽日とも重なり、端正な建物には艶やかなのぼりと満員御礼の旗が掲げられていました。

国立劇場の前庭には、役者や関係者が植樹した多種の桜が植えられています。庭を最後まで端正に手入れをする庭師の姿も見うけられました。

観劇客以外でも利用できる喫茶もあり、名残りを惜しんでカレーを賞味してきました。店内には歌舞伎役者の額が飾られ、木格子の日本が感じられる心地よいしつらえでした。

日本文化博覧会

日本文化博覧会という、舞台芸術作品、芸術祭や展覧会などを通じて日本の文化芸術を紹介する活動があります。美しいポスターが、渋い国立劇場に対比されるように飾られていました。

再開場は2029年だそうです。

再建にあたっては民間のノウハウも取り入れるそうです。誰もが入れるロビーに改め、ホテル、レストランなどを含む施設となる予定だそうです。インバウンド客や、周辺の皇居などの環境にも配慮した、国際的な文化観光拠点への変貌を目指す。伝統芸能の場も、姿を変えていくようです。