トレンドに見る変化の兆候。「2023カラーとデザイン トレンド」としてメゾン・エ・オブジェやハイムテキスタイルのトレンドを、企業の取り組みを例にあげ、インテリアビジネスニュースに寄稿しました。
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この9月パリで開催されたメゾンには、2,200以上のブランドが出展しました。来場者数は58,688人で、内36%が海外からの来場者。活況を呈しました。
ポイント1、色の復活
ファションでは、覆われたマスク生活にご近所着のワンマイルウエアー。スーツもパジャマスーツにウルトラストレッチスーツ。もっぱら着心地の良いものが、主流となりました。その反動から、刺激的で大ぶり。カラフルなアクセサリーや色を使ったスタイルが出ています。
インテリアでも、自然な飾らないスタイルは今後もしばらく継続していくでしょう。そこに、色をプラスして前向きな気持ちを後押ししていこう、というのが今回のポイントです。
ポイント2,循環型リサイクルの提唱
ハイムでは、繊維産業が与える地球環境への負荷をあげています。循環型イノベーションの拡大は優先事項として4つの主要な方法を提唱しています。
それぞれを2つのアプローチからとらえています。テクニカルサイクルは、ナイロン、ポリエステル、プラスチック、金属など。何度も再生可能な無機材料に適用されます。生物学的サイクルは、自然由来の有機物質に適用されます。そして耐用年数の終わりには地球に戻ります。
From Earth(地球から)
例えば、ハイムの「From Earth(地球から)」のカラーパレット。こちらは有機物と天然染料からなる暖かみがあります。柔らかく落ち着いた、有機的循環のトレンドです。
カラーパレットは、オリーブ、ライム、暖かみのあるベージュとピンク。そして大胆なインディゴなどの自然の美しい色です。
サンゲツの滲んだ縁の板締め絞りのカーペット。インディゴを大胆に使い、かつ自然な不揃いも表現。クリスチャンフィッシュバッハのマイケルさん。板締め絞りについて、手を合わせて、こう絞ってと日本の絞りを説明してくれました。どちらも今季トレンドを先取りしたデザインです。
ハイムの地球からのトレンドと、メゾンの色の力はどちらも力強い色が特徴です。違いは質感。ハイムでは、上の例の様にラフで素朴な印象です。メゾンでは暖かみのあるややPOPなデザインになっています。
Make and Remake(メイク アンド リメイク:作ったものを作り直す)
ハイムでは、使用済みのものやデッドストックを活用する、無機質循環のトレンドも提唱しています。Tarkettは、スタジオレンズと古いカーペットを染めて蘇らせました。独自の色むらをもつカーペットが作りだされています。
矛盾を美とする価値観
矛盾を美として捉える。これまで、特に工業製品は均一・同一を良しとしてきた価値観がありました。量産されてきた画一的製品に、変化を投じる新たな試みです。
Nature Engineered(ネイチャーエンジニアリング)
ハイムのネイチャーエンジニアリングは、材料を何度も生まれ変わらせリサイクルする。廃棄物ゼロの循環型ループトレンドです。廃棄されるものや余剰となった天然資材。それらの自然の特性を活かして人の健康を促進する製品に生まれ変わらせる。柔らかさや暖かみがある有機的循環のトレンドです。
この秋グッドデザイン賞を受賞したメグリウォール。リサイクル樹脂や籾殻から有機的廃棄物を機械的に処理し製品として向上させています。まさにトレンドの、都市のごみを利用するものです。アーバンマイニングの発想から生まれた製品です。
ポイントは明るい色、そして循環型アップサイクル
2023カラーとデザインのポイントは明快で明るい色。これまでの素材を慈しんで静かに籠る暮らしに、明るさを与える色の追加です。
循環型サステナブルやアップサイクル。具体的な手法を示し、ロンドン、メゾン、ハイム、その他のトレンドでも最重要課題に掲げています。
エコ・コンシャスな暮らしのブログでは、2020年のメゾンのヴァンサン・グレゴワール氏が環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんを取り上げた話をご紹介しています。NHKアーカイブで放送された「グレタ一人ぼっちの挑戦」では、彼女が国連で演説するまでのドキュメントが放送されました。彼女は「人は自然を尽きないキャンディ袋のように思っている」と語っています。そして今すぐに対処すれば「別の未来」が待っている、と語ります。
トレンドは2年で現実になる。これまでを見て来てよくそう話していました。今では誰もが実感する環境危機となりました。しかしこのトレンドばかりはグレタさんの言う「別の未来」に繋げていかなければなりません。
今ある素材に価値を見出し、伝統や革新的技術で循環させていく。できるだけ地域内で行い、より多くの地元の人が参加する。そして、皆でノウハウを取得しながら持続可能な暮らしを作っていく。環境ロスを軽減した循環型エコ・コンシャスな暮らしが提言されています。
2023トレンド ブログ
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トレンド記事を寄稿しました、 このブログの掲載記事「欧州見本市で見つけた2023年のトレンドを日本の住まいに取り入れる方法」。こちらでは、特に色とこのトレンドにリンクするインテリアをご紹介しています。