京都 圓光寺

京都 圓光寺は洛北にあり寒さで紅葉が美しく、全山は燃えるような紅に染まります。石組の前庭から起伏ある地形に配された、ちょっとした細部の様子が風情があって楽しめます。

奔龍庭(ほんりゅうてい)

奔龍庭は、白砂を雲海に見立て、天空を自在に奔る龍を石組であらわした2013年作の枯山水の庭です。向かって右が龍の頭。瓦が胴体を表現していて、苔築山の背中へと繋がっています。龍の頭部と背中付近にそびえ立つ石柱はかつて井戸の部材として使われていたものだそうです。端に開けられたいくつもの穴にその名残が見られるそうです。荒く切り立った石柱は龍の周囲に光る稲妻を表現しているそうで、石の庭素材と高低の差による躍動感が感じられるモダンな石庭です。

十牛之庭(じゅうぎゅうのにわ)

牛を追う牧童の様子が描かれた「十牛図」を題材にして江戸時代に造られた池泉回遊式庭園です。周囲を山に囲われるおおらかなつくりで、尼寺として長い歴史を持つという圓光寺の家風そのものが感じられるといわれています。

額縁庭園

本堂から眺める額縁庭園。これでも人はかなり少なくなっていて、赤毛氈に座ることが出来ました。

洛北最古の泉水、栖龍池

庭園南側には洛北最古の泉水、栖龍池があります。水面を紅と黄の紅葉が渦をなして他では見られないひなびた美しさでした。

襖絵 琳派彩還

パネルによる琳派彩還の説明より。琳派は、日本美術の特色の装飾性を最も純粋かつ高度に表現した流派とされています。日本芸術のアイデンティティを琳派の表現法に見出し、それをベースに新感覚で400年後の現代に流れを汲んで蘇らせる。これを琳派彩還(りんぱさいげん)と表現しているのだそうです。

水琴窟

縁が広い盃型の手水鉢を用いた水琴窟はめずらしいそうで、古くから「圓光寺型」として多くの趣味人に愛されてきたそうです。おおらかな十牛之庭にふさわしい、ゆったりとした広口が美しかったです。

応挙竹林

庭の奥の孟宗竹林はかつて、円山応挙がよく訪れた竹林だそうです。奥の山や鐘楼との借景と相まって、十牛の庭に深みを与えています。

この竹林は、禅語にある「清風動脩竹」(せいふうしゅうちくをうごかす:あるがままの姿は美しいが、それに執着しないことこそ素晴らしい)のとおりとも言われるそうです。風に吹かれ雨に打たれる竹林の情景が、常に変化を続ける人間のあり方そのもの。円山応挙はこうしてこの竹林を「雨竹風竹図」として描き残したそうです。刻一刻と表情を変える竹林に、禅門の本質を感じたとされているそうです。

円山応挙の「雨竹風竹図」屏風

「竹」を通じて雨や風を描いているのだそうです。その雨やら風は、表面上は目に見えないが、竹の動きを通じて伝わってくるように描かれています。その描き方から見て、左隻が雨、右隻が風を描いているそうです。確かに、左の竹は雨に煙るようで、手前から右手は葉のざわめきがあるようです。

後で解説を知ったので、その場でもっとちゃんと味わえばよかったです。

十牛之庭の童子

紅葉の絨毯に、頬杖をつく童子が座っています。

夕日を浴びる奔龍庭の龍

山門から奔龍庭へ続く参道

石畳にランタンが置かれ、とても素敵な路でした。

入口は堅牢な印象。中庭は池を囲んで広くは無いですが変化に富む、とても素敵なお寺でした。