カサ・ミラは、ガウディ建築の完成形と言われています。吹き抜けとパティオを備えたガウディ54歳の時の設計です。1910年から2年かけ、ミラ夫婦の邸宅兼・集合住宅として建設されました。
石灰岩をつかっていること、そしてその波打つような姿から、当時は石切り場と揶揄されたそうです。自然界の動物や植物を手本とするガウディのデザイン。ここではバルコニーの欄干まで、一つとして同じものがないと言われています。
規模は大きく8階建てで、ホールに入ると見上げる大きさです。
カサ・ミラの建設費はカサバトリョの10倍ともいわれます。場所も角地で、並々ならない建物だとわかります。施主のミラ氏は、繊維業で財を成した父をもち、叔父はバルセロナ市長を務めたという名士。妻は前夫の莫大な財産を受け継いだという、ミラ夫婦。他とは比べられないブルジョアだったことがうかがえます。
他にはない目立つ家が、当時の富豪のステータスシンボルだったそうです。そのお陰で、特異なガウディの建物がバルセロナに多く建つことになったんですね。
エントランスホール
あの有機的なゲートからホールに入ります。
中に入ると、圧巻な高さが感じられます。
ホール右手に家主専用の階段があります。リゾートのような南国の植物が植えられています。
ピロティにはシャビエル・ノゲスによる画が描かれています。柵も近くで見られます。もともとはこのピロティの裏にタイルを貼る計画でした。ガウディはミラ夫婦とのトラブルから完成前に建築から手を引いてしまったためここは絵になっていて彼の作ではありません。
ここはまだ住居として使われているため、次は屋上です。エレベーターで一気に屋上に登ります。
煙突の屋上です
ここは住んでいる方が居るので、屋上が見どこになります。さまざまな形の煙突はもちろんですが、テラスや階段もあります。起伏が結構あり、階段を昇ったり降りたりしながら煙突から煙突へと巡ります。
煙突のモチーフ
これは聖書に出てくるローマ兵と言われています。ガウディの没後100年が経ったサクラダファミリアの受難の門に、同じ面の戦士が使われています。
右のガウディ作は、暖かく感じます。首元のねじりなどが結構効いてるんですね。
ねじってますね。サクラダファミリアも法則的なねりで作られる曲線が使われているのだそうです。この煙突なども法則が潜んでいそうです。貼られているのはリサイクルされたガラスです。資金も潤沢だったカサ・ミラでこれが使われているということは、ガウディが意識してリサイクル材を使用したということです。
右は砕いたタイルを使って仕上げるトレンカディスという仕上です。トレンカディスとは、カタルーニャ語で破砕タイルやその仕上げを差しています。モデルニスモ建築に数多く使われています。なだらかな曲線にそった装飾に適した技法でもあったんですね。
階段を昇り降り
段差があります。垂直面の曲線だけでなく、平面もでこぼこしてます。
どうやって工事したんでしょう。ガウディ先生の作るものは大変なんだから、とか言われてなかったでしょうか。これらの煙突はここで成形したんでしょうか、重そうです。
話しかけて来そうです。テーマパーク状態です。ただし、屋上を巡っている時は昇り降りに大変で全体まで把握しきれません。大きい物は階段の出入り口になっています。隣の口を開けているのは通気塔です。
素材は素焼きと粉砕タイルを貼ったトレンカディスの2種類です。通気口はメビウスの輪を二つ合わせたものと言われています。
屋上から見下ろすと、上部の窓が小さく、下に行くにつれ大きくなるのが分かります。カサバトリョで見られた採光と通気をかねた工夫と思われます。
模型を作って奥向きとか考えたんですかね。お陰でこんなに楽しめます。ガウディにお任せ建築、バンザイです。
これんな配置できるなんて、ガウディってほんとに凄い。
デティールや模型
アーチの考え方が示されています。
使われているタイルや建物全体が模型で展示されています。
なるほどー。
ここでも、窓が上に行くにつれて小さくなっています。光を階によって敵便に取り込み、空気も循環させる工夫が見れます。
人が住まうことを最優先したデザイン
ガウディというと、奇抜な装飾が先に立ちます。こうして見ると、住まう人のことを思って作っているのが良く分かります。
コロナになって、自然を模したデザイン。バイオフィリックデザインやバイオフィリアについて言われるようになりました。自然にならった形状や、その場にあう光の取り込み。そしてサクラダファミリアで体験する色の幸福感。今のトレンドそのもののようです。
そう思って見ると、路面電車にひかれて亡くなる最後もにガウディだと分からないくらいの身なりであったこと。ただただ仕事場に向かっていたという、その様子が分かるような気がします。
サクラダファミリアが具体的な姿を現しつつあります。楽しみです。
☝その素晴らしい様子は別のブログから。
無謀にも、ガウディ全部歩きを前にしました。その画像が発掘されましたら改めてご紹介します。