カサバトリョは、海をテーマにつくられていると言われます。青と緑に土色のタイルが貼られています。コロナ禍で私たちが必要と思う色が、散りばめられています。
ガウディのタイル
このように、ガウディと言えば、タイルの色が忘れられません。
ジュゼップ・マリア・ジュジョール。彼は、建築家兼家具やタイルも作るアーティストが、ガウディの創作に協力しています。カサバトリョもそうですが、あのグエル公園のタイルも、彼の協力によるものです。
明るい地域では、色がより大切です。光が十分にあり色彩が再現されるので、色に関心もたかくなります。カサバトリョは、この色に加えて装飾的造詣が顕著です。思う海のストーリーに合わせて、屋根にはドラゴンも付いています(見えませんが)。
サロンの特徴的な装飾
天井は、カタルーニャの特徴的な漆喰をガウディ風にしたものです。家具や窓、ドアも見どころです。
暖炉の間にあるキノコの暖炉は、籠りベンチが付いています。壁に暖炉が埋め込まれているんですね。
天井の漆喰がカタルーニャの特徴
サロンの天井には有機的ぐるぐるが。カタルーニャの特徴です。窓やその上の装飾に、青が使われています。随所に水玉のようなステンドグラスがはめ込まれています。ドアや窓はトネリコ材。曲げるのに良かったんでしょう。
柱は骨の様だとも揶揄されたそうですが、外から見ると確かに骨の様でもあります。内部に入るとそれは植物なのが分かります。サロンは当時としては珍しく、ガウディが改装時に窓をぶち破り繋げ開口を広くして採光に配慮した物です。
そして正面に2本で対の珍しいスタイルの柱があります。これはあの流麗な124本の柱が連なるグラナダアルハンブラ宮殿のライオンの中庭の柱からヒントを得たと言われています。タルゴ鉄道でゆくアルハンブラの画像も見つかりましたら、またご紹介します。
サロンにある扉は開け広げられる折り畳みタイプ。広間としても使える工夫があります。ガウディは、決まったモチーフを連続して使用し、使いやすさを考える建築家であることが感じられます。美しのには、やはり理由があるんですね。
お金持ちのパトロン依頼者たち
この家の依頼者、バトリョ氏は、当時隆盛の絹織物製造に携わっていました。その息子ジョセップ・バトリョが1884年に同業者の娘さんと結婚することに。政略結婚で更に資産を増やそうとの思惑で、この目立つ場所に邸宅を建設したそうです。
「カサ・ミラ」のオーナーペレ・ミラ。そしてガウディのパトロンで発展のきっかけとなった「グエル邸」のエウセビ・グエル。彼らは繊維業で財をなし、ガウディのこの目立つデザインを取り立てています。もしかして事業でお金を設け、目立つことが好きな早い物好き。という人たちだったのかも知れませんね。お陰で私たちは今存分にガウディの建築が楽しめます。
光の入る大窓
圧巻ですね。上の部分は開けることもできたそうです。
吹き抜けの青のタイル
吹き抜けには青のグラデーションタイルが施されています。バルセロナの敷石もガウディはデザインしています。お土産にそのミニタイルと、吹き抜けの青のグラデーションタイルを購入しました。工事でうっかり敷石のタイルはゴミにされ(工事の方は分かりませんものね)。グラデーションは無事残ってます。
タイルというと薄いイメージがあるかも知れませんが、ぽってりした姿です。5色で1万5千枚貼られているそう。光があたって下から見てもフラットで、精度の良さがわかります。色は下に行くほど白くなり、見上げてみた時色が均等になるよう考えられています。
窓の大きさは下に行くほど大きくなります。光がより下の階では取り入れやすく、上の階は暑く成り難い工夫がされています。窓は上部が採光、下部は換気のためでした。熱還流まで考えられていたんです。真四角な窓で囲まれた今のビルは熱くなるのも当然、ってことですね。
テラスのタイルも凄いです
この辺りまで来ると、様々なタイルが近くで見られます。
そしてあの、煙突
根気がないと、こんな凝ったことし続けられません。だから晩年はサクラダファミリアに没頭して、規模も大きくなったのでしょうね。