アートビオトプ那須

2018年に完成したアートビオトープ那須の水庭は、妹島設計事務所に居たことのある石上純也氏によってデザインされました。妹島和世のSANAによるルーブルランス美術館を思わせる、幾何的な情景です。

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ガーデンデザイナーではなく、あえて建築家に依頼をしたという水庭。160の水池と318本の木が独特の幾何的ランドスケープを形成する。人の手で作りだされた水と雑木の庭です。クールジャパンアワード2019と文部科学大臣新人賞を受賞しました。この庭の説明はこんな風に書かれています。

聴くに値するのは沈黙だけです

art biotopは、来るべきアートのための小さな苗床です。あらゆるものが親和して、ゆるやかに循環している、一つの生命圏です。ここでは、沈黙と孤独こそが、最上の贈与。すべてが、分かち合うべき、生き物の獲り分です。art biotopで、思いきり耕してください、じぶんの畑を、じぶんの手で。 

池の周りの「小さな飛び石」。根を傷めないようこの石を歩いて巡ります。

後から調べてわかりましたが、飛び石には「小さな飛び石」と「大きな飛び石」があるそうです。確かに踏み外しそうな箇所が多々ありました。池を渡る石も、配置されてました。

歩きにくい「小さな飛び石」を歩く時は足元に注意して緊張しながら歩いてほしい。そして、歩きやすい「大きな飛び石」を歩くときは周りの景色を楽しみながら開放的な気分を味わってほしい。「緊張と解放」の連続、そして人間のバランスを考えた飛び石の配置になっているのだそうです。

ホテル建設のために、伐採されることになった樹木。それらを、この土地に生かそうというのがこの庭です。

大木で、寝かせての運搬が出来なかったそうです。そこで立たせたまま運ぶドイツ方式という運搬方になり、一日4本しか移動できなかったそう。構想から4年を経ての完成となりました。

水田の水を循環する、水庭

石上氏には、新たに出現するような庭にはしたくないという想いがあったそうです。近隣の森を研究すると、那須はかって植林された木々からなる森だと分かりました。そしてこの場所に隣接する土地は、かつて水田と用水路だったことも分かりました。

庭には水もあり水棲生物だったトンボが居ました。水面に写る光が心地いいです。

近づくと、水がかすかに循環し田んぼの造りを思わせます。

水は全て繋がり、川へと流れます

水庭にある160の小さな池は、すべて繋がっています。耳を澄ますと、せせらぎのような水音を耳にすることができます。流れているので、澱むことはありません。160個の池を巡ると、水は川へと流れていきます。

奥には小さな庵があります。

周囲と自然との対話の庭

石上氏は、周囲の自然と会話を楽しむような庭にしたかったと語っています。この庭のコンセプトは、自然に任せ永年の繋がりを持たせていくこと、としています。

木と池の間隔には細心の注意をはらったそうです。この様な広葉樹は、通常水の近くには根を張らないのだそうです。そこで、彼は水池の底を硬い粘土で固めました。これによって、水が池の底から染み出すことを防いでいます。

中には、枯れてしまった木もあったそうです。が、自然に、小さな苗が芽生えて出てきたそうです。人によって造られた庭ではありますが、この循環は、人と自然の連携だと語っています。

この空間をリビングルームの様に感じて欲しい

中には、小さな腰かけ石が置かれています。そこに座って、自分の庭、パーソナルな空間を感じて欲しいそうです。あたかもこの庭が自分の居間のように好きな場所をみつけて欲しい。まるでカウチに腰かけているように。なるほど、改めてこうして見るとそういう置き位置だったんですね。

腰掛けるための石 リビングみたいにくつろいでほしいそう。

鏡の様にここの文化を投影する庭。人が自然とどう関係を築いているのかを見せてくれる場所です。石上さんは自然とのつながりを感じることは、人と人のつながりを感じることでもあります。と語っています。

樹種は落葉樹が大半で「コナラ」「イヌシデ」「ブナ」などだそうです。池の縁にたまる枯葉が光にキラキラして綺麗です。

また違う季節に。樹々が少し落ち着いて成長したのも、見てみたいです。

ロッジ棟

13年の年月を経て、2020年に完成。人と自然、そしてアートの共生を目指すリゾートとして板茂が設計しました。 “多様性が育む、共生可能な未来的リゾート” の可能性を表現してほしい”との思いで、設計を坂氏に依頼したのだそうです。

1万5000平米の敷地に14棟15室のオールスイートタイプのヴィラと、レセプションを併設したレストラン棟があります。この土地の木が、水庭に移されています。

点在するロッジ棟。ロッジ室内はなかなか素敵です。

お風呂が凄いです。全開放します。日本のテイストを保ちつつ、ミニマルな空間が庭へと広がります。

「約5.4mの大開口には全面開放が可能な大型の木製サッシを採用。室内外の景色をつなぐため、柱はもちろん、見える部分では太い梁も使わないよう、構造を工夫しています。景観との一体感とともに、風や光、音を楽しむ。そんな場所ができたと思っています」と坂氏は語っています。

お風呂の壁面に使われている石はこの工事ででた石を使っているそうです。

創造の小さき庭とサロン

こちらはパブリックスペースです。家具が、ものすごく感じよく置かれるサロンです。

ラフに箱を重ねただけ。素敵です。

レストラン棟

レストラン棟は坂氏のデザインではありませんが、寒い地にある暖を楽しめるような、リゾートらしい造りでした。