アイルランドにはケルトの聖地と言われる遺跡が数多く残されています。アイルランドは妖精やゴブリンの発祥の地とも言われ、小説ドラキュラの起源の地です。
ハロウィンはアイルランド発祥
ハロウィンは、アイルランド語で「夏の終わり」を意味する「サウィン(Samhain)」が起源です。2,000年以上前、古代ケルト人は、夏が終る収穫期の終わりに焚き火をたき、饗宴や儀式で祝いました。
サウィンは、現世と来世を分ける境界が弱まる時、新しい年の始まりに開かれました。古代ケルトの人々はこの時に死者の魂が蘇り帰ってくると信じていました。死者の魂に見つからないよう食べ物を置き、自らは獣の皮を被って身を隠したそうです。これが今の仮装につながります。
かぼちゃでなくカブ
サウィンでは、カブをくり抜いた蝋燭が使われていました。ある時アイルランドで起きた深刻な飢饉から逃れるため、人々はアメリカに渡ります。そして現地で手に入りやすかったかぼちゃを使ってこの習慣を行うようになりました。こうして今日知られるハロウィンが世界に広がります。
「ジャック・オー・ランタン(ランタンのジャック)」はこうして誕生しました。ミースでは「スピリッツ・オブ・ミース・ハロウィン・フェスティバル」。デリーでは「デリーハロウィーン」が開かれ、今もケルトのお祭りが行われています。
ケルトの聖地を巡る
アイルランドにはこうしたケルトの魂の痕跡が残る聖地や広大な古墳群があります。ダブリンからほど近い三―ス州ボイン川流域一帯は、ブルー・ナ・ボーニャと呼ばれる遺跡を中心とする集落です。1993年に世界遺産に指定されています。
英国に行かれた方は経験があるかも知れませんが、車の方向転換はサークルで行います。交差点や分岐点では、直角ではなく、サークルを周って向きを変える仕組みです。頼りのカーナビは『Round-about=交差点』を繰り返します。肝心のスピンアウトする”その方向を知りたい”のに。というわけで、ぐるぐる回りながら地図とのにらめっこが続きます。
ブルー・ナ・ボーニャの古墳遺跡群
遺跡群と称するだけあって広大でここかしこに遺跡があります。日本から飛び出て来たものの、ケルト語の標識も多くカーナビもままなりません。何とか絵付きのドライビングマップを手に入れました。いざ、ブルー・ナ・ボーニャの巨大古墳群を目指します。
なんとかブルー・ナ・ボーニャに到着。古墳だけあって辺りは広大で入口が分からず周囲を車で行ったり来たり。残念ながら中に入れる時間が終わっていて入れなかったと思っていました。後で調べると個人では入れず村でのツアーのみ入場可能だったようです。確かに世界遺産ですものね。
ブルー・ナ・ボーニャはエジプトのギザのピラミッドより500年古いそうです。イギリスの巨石群ストーンヘンジより1,000年も前に起源をもつと言われています。ニューグレンジ、ノウス、ドウスの3つが特に重要で、ツアーではニューグレンジとノウスを訪れることができるそうです。
多くの巨大な古墳が集まるこれらの史跡。紀元前3200年頃に築かれたと言われる古代の石造建築文化を代表する世界遺産です。紀元前3200年というと新石器時代。ケルト人が入ってくるよりさらに前だそうです。どのような民族がこれらの古墳を作ったのかはまだ不明だそうです。
ニューグレンジ遺跡
古墳の直径は約100メートルで、運ばれた石はおよそ20万トン。下部は修復による白い石壁で覆われています。遺跡周辺には12の立石が囲んでいます(もとは32個だったそうです)。
こんな所を歩く機会もそうありません。ビジターセンター周辺は歩道が整備されていて、入り口まで行ったり周囲を巡りました。静まった巨大古墳を遠望し、鳥と自然に囲まれ悠久の時を遡りました。
5000年前のノウスの墓石
この渦巻はニューグレンジ古墳の各所でみられるそうです。古代ケルト時代の宗教では、輪廻転生の観念があったとされています。この渦巻きはそうした人の輪廻を表現しているそうです。
タラの丘
この丘はケルトの聖地とされる場所です。5000年立っていると言われるStone of Destinyの立石があります。タラの丘も5000年前にその姿があったと云われる周囲1000mもある丘陵です。アイルランドの伝説の王がその地を定めた政治的・精神的シンボルの地とされています。風と共に去りぬでタラへ帰ろうのタラは、アイルランドのこの丘の名から来ています。近代の民族隆起には集結の場にもなっています。
こちらには全様を示す看板がありました。ケルト十字の墓石がある墓地を通り抜けると自然と丘に辿り着けました。
空はどんよりしていますが、陽がさすと緑の平原は柔らかな雰囲気になります。石積みの古城や古墳に身を置き、古代中世にタイムスリップ気分になります。
キリスト教の十字架に輪を組み合わせたケルトクロス。文字を持たなかったと言われるケルトの輪っかが彫られた石。太陽、月と星をイメージしていると言われ、新石器時代の捕虜の墓の中にあります。
トリム城
起源はアイルランドに侵入したノルマン人が木造の塔を建てた12世紀にです。13世紀初めにジョン王が、ノルマン様式の堅固な城として造りました。一帯は石と岩からなる中世の映画に登場するような風景です。ブレイブハートはスコットランドでの話ですが、このトリム城で撮影されたそうです。
点在する街には伝統的なホテルや英国で見るようなカラフルな連棟長屋が見られます。街により思い思いのデザインで、画像はめずらしい左右対称にペイントされた凝ったものです。向こう3軒両隣、仲良しなんでしょうね。
風光明媚なアイルランドのクリフトン。ブラッドピットも泊ったという古いアイルランドのホテルやアイルランド市内。英国コッツウォルズの湖水地方や英国のマナーハウスなどは、別のブログでご紹介しましょう。