ポンピドーセンターメスは、パリにあるポンピドゥー・センターの分館です。メス駅を出て直ぐにあります。伴茂設計。2010年に竣工しました。
私が行ったときはまだ駅からのアプローチを製作中で、改修のプロセスが順を追って工事囲いにプリントで表示されていました。
サーカスを思わせる外観
ゆるやかな屋根が建物に被っています。展示室は、3本の四角い筒箱をずらしながら重ね作られています。屋根から突き出ている幅15メートル長さ90メートルの長い箱です。箱の先端からメスの旧市街を望むことができます。
木で編んだ骨に白い幌を被せた屋根になっています。木の構造体となる屋根は、内部中央のエレベータから吊っているそうです。ヒントにしたという編んだ麦わら帽子が、置かれていました。
大地に根差す組み柱
木の組み柱は、大地にしっかり根差すように屋根を支えています。屋根はフランスの国土を幾何的にとらえ、六角形の屋根にして被せたのだそうです。かっこいいです。
屋根の間から風が通り抜け
一番上まで上がってみたら、ケニアのエドワード鈴木設計のホテルで経験した風が感じられました。屋根とガラスの間から、風が吹き抜けています。
なんと自由な設計かと、場所が美術館なだけに驚きました。ちょっとくらい雨や湿気が入ってもいい、そういう発想なのでしょうか。
展示室ではブルレック兄弟が展示されていました。
有機的で優しい建物
実際の帽子は中国の竹網帽子というものがヒントだそうです。建物に木や草をごく普通に使うと建物が有機的で優しくなります。
構造の仕掛け
ポンピドーセンターメスの構造はこのような仕組みです。四角い箱を重ねる建築は、日本の住宅でも見かけます。それにフッ化エチレン樹脂の膜を被せています。
ポンピドーセンターメスの周囲には、新興の住宅計画が行われていました。ルーブルランスと言い、何れも日本人の建築家による設計です。フランスは日本を好んでいます。思い切った登用で、郊外に人を呼び込もうということもあるのでしょうか。
マニュエル・カノーヴァス氏が、日本は編んだ籠があるでしょう。あれがとても印象深く、ファブリックのデザインに取り入れたんだよ。といった言葉が思い出されます。