カラーで印象を創り上げた、ティファニー

ティファニーは、エレガントで独創的な色で企業イメージを表現したいと、オリジナルの色の考案を依頼します。1853年の事だったそうです。

一流のジュエリーへのこだわりと数々の作品の創造により、チャールズ・ルイス・ティファニーは「キング オブ ダイヤモンド」と称されました。1878年には世界最大級にして最高級の287カラットのファンシーイエロー ダイヤを購入。比類ないカットで完成して公開するなど、世界の話題を集め、ダイヤやシルバー、後に陶器でも名を馳せてゆきます。

年に一度発行されるティファニーのブルーブックは人々を魅了し、ますます知名度を上げたそう。こだわりの品質、独創的なデザインで憧れのブランドの一つとなったティファニーは、180年以上前から工夫を重ね、世界で知られるブランドとなって行ったんですね。

そのティファニー氏は、エレガントで独創的な色で企業イメージを表現しようとオリジナルの色の配合をパントン社に依頼しました。

ティファニーブルーは、ヴィクトリア朝のイギリスで珍重されたこまどりの卵の青を基にしています。このコマドリの卵の青は、ウジェニー皇后(在位1853-1871)が好んだ色として大流行し、重要な台帳の表紙に使われるなど、大切なものを表す色として使われました。

ウジェニー皇后と女官たち コマドリの卵の青のドレスですね

スペイン貴族の出で、フランスで名高いサクレクール女子修道院で高い教育を受けたウジェニー・ド・モンティージョは、その美貌とセンスでフランス皇帝ナポレオン三世の求愛を受けウジェニー皇后となります。ウジェニーは貴族的気品で家柄に対する反発を覆し、欧州の宮廷で大流行となる新しいスカートスタイルを打ちだすなど、当時のファションリーダーとして知られたそうです。

また、バロックやロココなどの装飾的・官能的な流行に与しない、「真の様式」と言われる新古典主義用いたウジェニーによる宮廷の家具やインテリアの装飾を採用し、そのスタイルはシックのもとになったともいわれているそうです

そんな彼女が好んだ色がコマドリの卵の青で、ティファニーはこのフランスの気品漂う人気の色を自社のブランドカラーとして採用しました。ティファニーの製品を手にするものだけが持つことができるという、ブルーボックスの登場です。

1906年のニューヨーク・サン紙は、「ティファニーには、どれだけお金を積まれても決して売らないものがある。それは名前が入ったあの青い箱だ」と述べブルー ボックスはティファニーの代名詞として知られるようになりました。

調色はパントンが行い、その配合はティファニーだけのものとして不出です。ディファニー氏の強い要望により、色の品番は創業年の1837になり、ムラのない色を出すため、顔料などを駆使してあの色が生み出されているそうです。

たしかにブルーボックスは、引き出しの奥深くにずっと大切に仕舞われ保管されてました。そう、あのブルーだからいいんですね。当時のトレンドセッターのチョイスが今も息づくようです。