2020東京オリンピック選考 永井一正先生

先日整理をしていて、先生の記事を寄稿した社内報が出てきた。

永井一正先生は、オリンピックを始め数々の作品に関われています。オリンピックのエンブレムやデザインも世に創り出しておいでです。2020年東京オリンピックエンブレムのデザイン選考の審査員代表を務められました。

スワロフスキー時代に先生の作品展をさせていただいたことがあります。ご自身で招待状も監修され、白いのに柔らかいその招待状でした。記者会見からレセプションまでの長丁場。柔和な面持ちも崩さずにご対応くださいました。

社内報に様子を投稿

3部作

早くもアジアに軸足をシフトしていたスワロフスキー。香港と日本からのデザイナーを選定。セレクションというディフュージョナルラインから、作品を発表しました。赤い背景の「連」と名付けられた先生の作品。丸と四角と三角が連なる「調和」から発想されたそうです。

連(右)永井一正作

3部作からなる先生のもう一つは「和」と名付けられたボールです。平和の象徴鳩がベースの部分についています。先生は「2~3年経ても製品にならないんだよね」と仰っておられました。オーストリーの職人の気の長い物づくりを、少しあきれ気味に語られていました。

作品の発表の際にデザインセンターに本部のCEOお連れしまし。「3つデザインを差し上げたが。後の二つはいつ出るのですか」と話され、程なく3部作が完成します。

かくしてちゃんと3作は作品になりました。先生が審査員を務められる中川ケミカルのCSショー。そこでのトロフィーにもお使いいただきました。

大切なコレックションとして

黒が印象的な安定した調和を感じるこの二つの作品。3つは賄えませんでしたが、思い出の時を刻む自宅のキュリオケースに飾られています。

先生の直筆サインをいただいたSave Natureシリーズのポスターも仕事部屋に飾っている。白と黒の緻密なポスターだが、見るとふっと笑みが浮かぶ。

デザイン室を訪れたある日、先生はこの細かな線をひとつひとつ描かれていた。思わず「全部手で描くのですか」と、愚直な驚きを発した。

精密ながらなぜか柔らかくふわっと感じる線で生き物たちの住処が描かれ、同じくふわっとした柔らかい線で描かれた生き物たちがこちらを見つめる。

事務所のポスター

この2枚は、事務所に先生の直筆サインを入れ、飾らせていただいています。

来社される方は 細かい手描きと 先生のサイン、ご覧ください。

スワロフスキー時は細かなクリスタルを並べては、デザイナーを連れ駆け巡っていた。デザイナーは骨格やロゴを付ける場所まで細かく気にかけ、粘土でモックアップを作り、専門の技術者がファセットに落とし込んでいった。

今日お目に掛かるインテリアの作家たちも、ひとつひとつ、様々な手段でモチーフを起こし、人々を幸せにできればとデザインしている。昨夏から練られた新作のデザイン達が、年明け世界に向けてお披露目される。